「ユリイカ EUREKA」 青山 真治

ユリイカ (角川文庫)
本を読む前に、映画を見ました。
長い長い映画でした。言葉少ない映画でした。
正直、苦痛な箇所もありました。
だけど、ずーっと私の心に残る映画となりました。
今まで、小説を読んだ後に映画を見ることはあっても、その逆はあまりありませんでした。
映画を見てからだいぶ時間がたっていることも手伝ってか、感想はとてもいいものとなりました。
特に印象に残ったのは2つ。
弓子の「私のためには生きてくれんやったくせに」と「嘘、ごめん、マコちゃん私のために生きてくれたよ、私わかっとるよ」という言葉。
それと最後に沢井が秋彦に「何が幸せか!そんなもんが幸せでたまっか!直樹はどこにおってもよかと。いつか直樹は戻ってきて失くしたもんば取り戻すと!そん時、お前みたいなもんが直樹の邪魔をしよるやろう。ばってん俺は死んでも直樹を守ってみせるけん、そいを忘れんごとしとけ!」という場面。
女の人だと上の弓子の言葉は、すごくよく分かるのではないでしょうか。
そして、下の沢井の言葉。
これは私のものの考え方を根底から変えた言葉でした。
「ま、そのほうが幸せかもね」なんて、本当は嘘だということ。
自分の気持ちをごまかして、ほどほどのことばかり考えて、それを幸せだと「思いこませる」それは、本当の幸せではないのだ。
そんな単純なことさえ忘れて、生きている自分に気づかされました。
本当に自分の思うような幸せを手に入れたければ、人は傷を負って当然なのだ。
アンチョビ評価 ★★★★★