そういうふうにできている さくらももこ

そういうふうにできている (新潮文庫)
そういえば昔読んだなぁ、と思っていたら本棚の隅っこにおいてあった。
3回の引越しにも負けずについてきた、意外なつわものである。
最近「妊娠」というものに関心が出てきたので、読んでみることにした。
(妊娠したいというわけではない)
笑ってしまう箇所がかなりある愉快な本だ。
通常、本を読んで笑うということはかなり特殊なことだけど、この本を読んでいるときには頻繁に起こる。


この本を読んでいる途中で、ついに歯列矯正も本格化してきた。
今は奥から2番目の歯、4本それぞれに金具がついている。
その後ろにはまたゴムがはさまれている。
さらに上あごを広げるための器具も入っている。
まともに食べられない毎日が続いている。


そんな私の状態と、妊娠でホルモンのバランスが崩れている状態はなんだか似ている。
妊娠も歯列矯正も自分で選んだことだけど、その最中には予想もしていなかったことばかりが起こるのだ。


だけど、私という人が生きていてこうやって死なずに毎日生きているのは、やっぱり「そういうふうにできている」からだと思う。
歯列矯正が今後の人生を大きく変えても変えなくても、もうやめられないところまで来てしまっているからやらなくてはいけないのだ。


さくらももこが子供にだんだんと愛情をもったように、私も歯列矯正を終えた後、変わった自分をだんだんと愛するのかもしれない。
神様が「昔」の自分と取り替えてくれるといっても「今」の自分を選ぶのだろう。


今の生活で私の楽しみは「食べること」と「寝ること」だけだったのに、これでついに「寝ること」だけになってしまった。
何たがひどく落ち込んでしまったが、そんな私に夫はとても優しい。
私の食生活に合わせて、彼の食事にもかなりの影響を及ぼしているのに。
「食べること」という楽しみは当分味わうことが出来なくなってしまったが、そのことによって「夫婦」というものがひどく楽しいものに思えてきた。
結婚というのは紙切れ一枚の制度みたいなものだと考える人も多いだろうが、同棲している男女と「夫婦」は全然違うのだ。
「夫婦」をやってみて、とてもよく分かった。
そして同棲なんかより「夫婦」はとても楽しく面白いということも分かった。


私に起こる毎日の出来事を、これからは面白おかしく理解して暮らしていこうと思う。
「そういうふうにできている」と思えれば、きっとたくさんのことを楽しめる。