「エターナル・サンシャイン」

hirocco2005-04-03

とてもとても期待して見たけど、それ以上でした。
とてもとてもせつない気持ちになりますが、はじめて感じる種類のせつなさでした。
私たちはちいさな今日の記憶を積み重ねて、おおきな人生を生きている。
だけどその全てを覚えているわけじゃない。
だけど本当に大事なことまですっかり忘れられるわけではない。
予想していたけど、最後にふたりが「いいよ」と言い合うシーンでは涙が止まらなかった。


私は「いいよ」と言えず、大事な人と別れてしまったことがある。
「いつかあなたはうんざりするし、私は息がつまるのよ」
そんな風になることがわかっていて、私は同じ道を歩むことが出来なかった。
どうせ同じことになると、決め付けていたし今日まで信じていた。


私は私の人生を後悔していない。
いつも今の自分が一番いいと信じている。
だから彼との別れを悔やんではいない。
だけど、その時の自分自身には少し後悔を覚える。
「いいよ」と思えなかった自分に。
私は決め付けてしまって、自分に出来る可能性を全て試してみなかったように思う。
本当は変われるかもしれないと少し思っている自分を、理性という名の勘違いで押さえ込んでしまったのではないか。
私は「いいよ」と言う勇気もなく逃げた卑怯者だ。
ごめん、今更あやまることが失礼なことは分かってる。だけど、ごめん。


終わることの全てには理由がある、だけどはじまりには理由なんてない。
はじめてみることの大切さを、私はどこかに忘れてきてしまったようだ。


アンチョビ評価 ★★★★★