「ワールズ・エンド(世界の果て)」 ポール・セロー 村上春樹訳
- 作者: 村上春樹,ポール・セロー
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/07
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
もちろん、表題の「ワールズ・エンド」は印象深いが、私はこのほかには2つの話が強く印象に残った。
「真っ白な嘘」と「緑したたる島」
特に「緑したたる島」は素晴らしかった。読んでいる間、私はむっとするプエルト・リコの空気を感じていた。むっとする空気の中で、少しずつ人生が死んでいく。そこに生きているのは本当の自分ではない。死んだ人生が新しい人間となって新しい生活を送っているのだ。当然そこにリアリティはないのだろう。きらめく島できらめきを失っていく若い二人。
ひきこまれた、そしていつかプエルト・リコに行きたいと思った。私が今想像しているプエルト・リコの空気を確かめるために。