映画日記

旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ 特別版 [DVD]

旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ 特別版 [DVD]

自由奔放なブリジット、内気なリーナ、皮肉屋のティビー、情熱的なカルメン。そんな4人が初めて別々に過ごすことになった16歳の夏。
リーナは祖父母の住むギリシャへ。カルメンは別れて暮らす父親のもとへブリジットはメキシコでのサッカー・キャンプに参加。ただ一人、夏休みの計画がないティビーは、地元のスーパーでバイトをしながら、人生の惨めさを綴ったドキュメンタリー映画(ミジメンタリー)を製作することに。
それぞれの夏休みに向けて出発する前日、4人が古着屋で見つけた一本のジーンズ。それは、性格も違えば体型も違う四人全員にぴったり合う不思議なジーンズだった。


不思議なジーンズが距離の離れた親友たちを結び続ける。リーナが訪れるギリシャの風景が素晴らしいとレビューで読んだので、死ぬ前に必ずギリシャに行かなければいけないと思い込んでいる私がこの映画を見ないわけにはいかなかった。その私の期待以上の素晴らしいギリシャの風景たち。ギリシャの風景が映し出されるたび「はっ」と息を呑むほどの素晴らしさに包まれる。やっぱり行きたい、ギリシャギリシャに行かずに死ねるか。ギリシャorDIE。その決意はおいといても、よい映画でした。4人の話の中では、一人街から出ていないティビーの話が一番よかったし、ティビーが一番好きだ。ティビーの被写体になる人々もよかった。全体的には少女たちの成長ストーリーだけど、最後まで面白く見れた。


私が16歳のころなんか、世界はとてもちっぽけで、今自分がいる場所以外の未来なんてうまく想像ができなかった。いまよりずっと精神的にごつごつしていて、ちっともうまくなんかいかない人生だった。毎日が空回りしているような気持ちだった。それでも、自分なりにうまくやっていこうと必死だったように思う。今も昔も生きるのに必死だな、自分。だけど、そんな毎日でも幸せだったように思える。今も昔も幸せだ、ありがたい。


昨日「幸せ」について考えた。とてもむつかしい議題だ。遠い知り合いの一人は、会社を上場させてどんどんと大きくなっている。16歳の私と一緒にすごしていた彼女たちの一人は、ひとりで南米を旅している。そして、私は毎日毎日同じように働いて、少しの時間で素晴らしい映画を見たり、本を読んで、夜はぐっすりと眠る。だれが一番幸せなのか?今の私にはわからない。だけど、ずっと考えているうちに、「ほかの人の人生をうらやまない状況であること」が幸せなのではないかと思った。その基準でいえば、今の自分は幸せだ。そしてそれぞれの人がそう考えれば、どの人も幸せなのだ。他者が決めることではないのだろう。


このDVDを借りたら、いつも見ない人も特典映像を見てほしい。映画の中でティビーが撮影したドキュメンタリーが完成版で見られるので。この完成版、すごくいいですよ。本編と同じくらい。