映画日記

「煉獄エロイカ

煉獄エロイカ [DVD]

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やっと出会えた吉田喜重の作品は、私の人生で一番美しいモノクロフィルムとなった。モノクロで撮ることがこんなに美しく意味があるのだと、はじめて理解できた。
最初のシーンで、私はもうすっかりまいってしまっていた。すべての構図がどれをとっても、どれをとっても、どれをとっても完璧だった。子供のようにワクワクしながら、次のシーンが映し出されるたびに「完璧」と思うことしか出来なかった。私の求めていた70年がここにあった。
革命はいつだって男性的なもので、女が女であることは許されない。だけど、男性的であることでいつだって革命は行き詰る。そんな中、森英恵のデザインにつつまれた岡田茉莉子のふくよかで白い頬は、何かの象徴のようであり、私はその美しさに息を呑む。
どこまでも続く完璧な映像と、胸をざらつかせる靴音の効果音、その中で私はただただ圧倒されるだけであった。