映画日記

「MANDERLAY」

マンダレイ デラックス版 [DVD]

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ドッグヴィルの続編。ドッグヴィルで免疫が出来ていたこともあり、そんなにきつくなかった。残酷童話みたいなお話。
グレース役が、ニコール・キッドマンからブライス・ダラス・ハワードになっている。だけどこのグレースがすごくぴったりだったと思う。今回の役柄の場合は、ニコールよりもあっているとも思えるくらいよかった。
ドッグヴィルを見たときのくらくらするような感覚はなかったけれど、人間の偽善とエゴとが上手く描かれているし、最初と最後のつながりでは「あー」と思わされた。
他者に対して本当に良いことなど、結局のところ誰にも分からない。でも、あまりにも自分の考えや行動が正しく思えてしまうと、どうしても人はそれを押し付けたがる。この世の中で「親切」という名の暴力ほどタチの悪いものはないのだ。さらにタチが悪いことにこの「親切」という名前をかりた暴力を平然と振るうような場合、必ずその「親切」に見返りを求める。
振るうような人、ではなく、振るうような場合、と書いたのは、やはり私もこの手の暴力を知らず知らずに使ってしまうのだ。以前に比べてその頻度は減ったような気もするが、愚かな人間である私はやはりまだおなじ暴力をふるってしまうのだ。そして、本当に愚かだと思うのは、そのとき少なからず私は満たされてもいることだ。
どんなに隠していても「他者より優位でありたい」という欲求を、私の心は持っている。「親切」という名の暴力を振りかざしながら、私の心はその欲求を満たすことに酔いしれている。
ドッグヴィルマンダレイは、そんな私にとっては見なければいけない映画だったと思う。