テレビ映画日記

阿修羅のごとく

阿修羅のごとく [DVD]

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結局私は、私の姉のことが、本当はとてつもなく好きなのだろう。
阿修羅のごとくを何回見ても、一番楽しみにしているシーンは同じだ。ほとんど、そのシーンを見るためにこの映画を見ているような気もする。
それは、滝子が咲子のために病室で戦うシーンだ。真面目なことだけがとりえな滝子(深津絵里)は、奔放に生き、いつも華やかな咲子(深田恭子)に嫉妬している。咲子も自分をこころよく思わない滝子と距離を置いている。ふとした偶然から、滝子は咲子が大変な状況であることを知る。それを知った滝子は、妹のために、精一杯の気力で咲子の敵をやっつける。
私にはひとり姉がいる。姉はとても真面目で、きちんとした人だ。私は子供のころから自分の世界で生きていて、姉からは怒られてばかりいた。それでも、二人同じ家で過ごした日々は、本当に素晴らしかった。姉も私も家が大好きだった。仕事が終わるとすぐに帰ってきて、二人でその日の出来事を面白おかしく話したり、へんなゲームを二人で考えてやってみたり。姉の結婚式で、私はだれよりも号泣していた。明日から、もう姉が家にいないと思うことが心の底からさびしかった。
だけど、もう少し大人になって、それぞれの生活をはじめて、姉は姉で生活のいろんなことが大変で、私の生活はあまりよろしくなくて、姉は私に対して手厳しくなっていった。
そうこうするうちに、私は結婚をすることになり、姉夫婦に夫となる人物を紹介する日がきた。私たちの結婚は、その頃あまり祝福されていなかった。私は緊張していた。
会はなんとなく進んでいったが、姉が突然涙をこぼした。姉は、私が自分の手元から離れてしまうことが、とてもさびしかったのだ。姉にとっては私は「かわいい私の妹」だったのだ。私は姉が涙をこぼすまで、そんな風に私のことを考えていてくれるなんて、これっぽっちもわかっていなかった。涙をこぼして、さびしいという姉とともに、私も涙をこぼした。
姉妹というのは、本当に不思議な関係だ。大好きと大嫌いが一緒になっている。一番わかりあえる相手であり、一番いやなことを言う相手でもあるからだ。だけど、阿修羅のごとくを見るたびに、妹のために頑張る滝子を見るたびに、私は姉のことが大好きなことを思い出す。