読書日記

恋愛中毒 (角川文庫)

恋愛中毒 (角川文庫)

きっかけは、「山本文緒わりと面白いですよ」という会社の人のすすめ。
結論からいうと、わりとどころかとんでもなく面白かった。土曜の夜から読み始めたのだが、日曜の昼間に読み終わるまで夢中で読んでしまった。
正直に言うと、最初は付き合いで読むつもりだった。会社の中の話のひとつにでもなればいいかという程度だった。
だけど、たぶんこの本を読んだ大抵の女性がそうであるように、私は思い出したくも無い恋愛の思い出をよみがえらされて、今もその気持ちを引きずっている。
「あー、あの時なんで私はあんなに周りが見えていなかったんだろう。」
この本を読んで多くの人が思ったであろう。なんだかいつまでも昔の写真をみんなの前にさらけ出されて、話題にされているような「もーやめてー」の気分なのである。
ま、そんな私の悶絶する気持ちは置いておいても、とにかく「うまい」小説だった。
今まで私は、文章とか雰囲気とかが好きな作家ばかり読んでいたんだなということにも気がついた。
山本文緒はまだこの1冊しか読んでいないが、文章に特に特徴があるわけではないのに、これだけ夢中で読み進むことが出来たというのは、やはり展開の上手さに違いない。
前半の新しい世界に旅立つ感じ、中盤に訪れる閉塞感、そして後半に予想もしなかった告白。最後の告白に驚いてしまったのは、やはり冒頭に刷り込まれていた主人公のイメージがあったからだろう。それに気づいたとき、「うまいなー」と思ってしまった。
あー、恋は人を壊すよね。