読書日記
- 作者: ティム・オブライエン,Tim O'Brien,村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/02/10
- メディア: 文庫
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ティム・オブライエンはこれの前にこちらを読んだ。
- 作者: ティム・オブライエン,村上春樹,Tim O'Brien
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/03/11
- メディア: 単行本
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「本当の戦争の話をしよう」を読み続けているうちに気持ちはうんざりしてくる。とにかくうんざりしてくる。戦場で彼らがその暮らしにうんざりするように。ひとつのエピソードについて、ティムはしつこいくらいに繰り返す。特に不快な事柄や事実であればあるほど、これでもかと叩きつけてくる。それだからこそ、読み手である私たちは引きずり込まれ、うんざりした気持ちをもちながらもここから離れないような気持ちにもなる。
戦争に行ったことのない私は、戦争について考える。「戦争」それはとてもクレイジーな日常のことだ。白くやわらかいベールにくるまれた日常とは、何もかもが違う世界だ。正しいこと、正しくないこと、勇気があること、勇気がないこと。それぞれの判断基準さえもがでたらめだ。そんな世界で暮らすことによって、兵士たちは「特別」な体験をしたという記憶だけを刻み込まれる。どんな人間も「特別」な自分でいたいのだ。「特別」になってしまった兵士たちが帰る場所は、彼らの額に刻み込まれた「特別」の文字をだれも読み取ってくれない世界だ。「俺がナムで…」その後に続く話がどんなものであれ彼らにかけられる言葉はきっと決まりきった言葉だ。額にある「特別」の印を読み取れるのは、同じ「特別」の印を持ったものだけだ。だけどその印は薄くなっていく一方だ。久しぶりに会った戦友の印はもうすっかり読み取れないくらいであるのに、自分の額には恥ずかしいくらいくっきりと「特別」がある。自分を恥じるべきか?戦友を恥さらしというべきか?そんなもの誰も答えを持たないのだ。
戦争映画を見て、戦争小説を読み、最近の私は戦争について考えてばかりいる。
本当の戦争を知らない私。