映画日記
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2006/07/07
- メディア: DVD
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私がみた部分は、話がかなり進んでいるところだった。ルートが博士の家で勉強を教えてもらうところあたりからだったと思う。このルートに勉強を教える博士の教え方がなんともよくて、すぐにこの映画が好きになってしまった。深津絵里のきりっとした母親役も好印象だった。
家政婦の仕事にプライドを持つ母の仕事ぶりと、博士の真摯な言動、そしてルートのまっすぐな心。それぞれがお互いを思いあっている関係。このまま続いていくのではないかと思わせる、春の陽だまりのような毎日。
だけれど、本当は記憶が無くなってしまうというのは、とてつもなく人を不安にさせるのだ。私たちが何気なく暮らしている日常の中では、様々なことが過去と結びついているのだ。経験というのはかけがえのないものなのだ。だけど、博士には記憶が無い。あの日からの記憶が無い。どうして今ここに自分がいるのか、なぜ時は進んでしまったのか、この目の前の優しい人は誰なのか、目の前に次々に現れる解決できない疑問たち。そして自分の記憶が80分しかもたないことも、明日になれば忘れて目覚めてしまう自分。そんな泣きたくなるような恐怖。
それでも、母親とルートはその恐怖をそのあたたかい心でくるんでいく。それがみんなを変えていく。この映画に登場する人たちはみな真摯だ。それが鑑賞後に私の背筋をぴんと伸ばさせたのかもしれない。