映画日記

「NOEL」

ノエル [DVD]

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−クリスマス− 許されるべき人たちの物語
ローズは、40過ぎのバツイチ。今の生活は母親の介護を中心に回っている。そんな生活を変えようかとささやかな試みをするが、なんだかテンポがずれる。ニーナは1週間後に愛する婚約者マイクとの結婚を控えている。彼女はとてもマイクのことを愛しているが、大きな問題がひとつある。マイクはニーナを愛しすぎているのだ。世の中の男はすべてニーナと寝たがっていると本気で思っている。一度芽生えた嫉妬心をとめることができない。そのことでニーナからうんざりされている。アーティーは過去の出来事のために、無くなった妻を追い求め続けている。
クリスマス。ローズは同僚とデートに出かけるが、相手のペースについていけず結局一人で過ごすことに。クリスマスの飾り付けをしていたニーナは、またもマイクの異常な嫉妬心に嫌気が差して二人の部屋を飛び出す。そして部屋に一人取り残されるマイク。
ローズとニーナ。マイクとアーティー。ローズと・・・。クリスマスの夜、奇跡は訪れる。
それぞれに共通しているのは、どうしたらいいのか分からないけれど、このままではうまくいかないことは分かっている、ということ。そしてそれぞれに必要なのは、自分を受け止めてくれるもの。「そのままの気持ちでいいんだよ」という許し。だけどかたくなになった心にはまわりの人の言葉は、届かなくなっている。同情して、気を使って言っているんだと素直に受け止めることが出来ない。だからこそ奇跡は見知らぬ他人からもたらされる。まったくの他者からの突然の許しは、心にしみこみ、硬くなったこころをときほぐす。圧倒的な他者 = 神様 なのかもしれない。神様からの許しを受けるクリスマス。
クリスマスは誰でも誰かに優しくしたくなるものだ。だけど、不思議なもので人に優しくすることによって、人から優しくもされるのだ。
クリスマス。一人で過ごす、自分を許せない人たち。だけどそれは許されるべき人たちでもあるのだ。そんな人たちがクリスマスに見るには、とてもいい映画だと思う。
優しくされたいとき、まずは優しくしてみませんか?