読書日記

インド旅行記〈3〉東・西インド編 (幻冬舎文庫)

インド旅行記〈3〉東・西インド編 (幻冬舎文庫)

2を読んでいないのに、3を読んでしまった。だって、近所の本屋になかったんだもん、2。
いやー、相変わらず素晴らしい。あの独特の客観的な視点が非常に心地よい。自分のことを「贅沢で身勝手な生き物」とまとめられるあたりでは、ぐうのねもでません。
このインド旅行記の好きな点は、インドという国を過大にも過小にも評価していないところだ。自分が体験したことを、自分の尺度で噛み砕いて表現していると思う。インドに行ったところで、変わるところもあれば変わらないところもある。非日常的な体験をすると、どうしてもその体験に飲み込まれてしまい、変わることが必要と無意識に感じてしまうことがある。混沌としたインドの非日常の中でも、つねに「中谷美紀という私」という軸がぶれていない感じがした。「東京」にいても「インド」にいても、「私」は「私」。長くその場所に滞在することで、慣れていくことや実際に触れていくことで変わる何かはあるかも知れない。だけど、【旅】という通過点では、汲み取れることを汲み取れた分だけ自分の中で消化していけばいいのだと思う。
旅行に行くときは、旅行記を読むようにしている。旅の中での移動の空間は独特なものがあり、旅行記を読むのに一番ふさわしい場所であるように感じる。このインド旅行記3は途中中断していたのだが、読み始めはハワイだった。ホテルで、そして空港で読まれたこの旅行記は、まったく違う場所にいながら、皮膚的な感覚で私にしみこんでいった。最後の部分は、つい先日近所の美容院で読み終わったのだが、私と本との距離は微妙に変わっていた。