映画日記

フィラメント デラックス版 [DVD]

フィラメント デラックス版 [DVD]

なんとなく、ずっと見たかったけどついに鑑賞。お父さんがすごくすごく良かった。
今日太(大沢たかお)が母親のことを許せないように、私にもひとり許せない家族というものが存在する。もう10年近くその気持ちを抱え続けている。いつも考えているわけではないけれど、この映画を見終わったとき、「ああ私はまだあのひとのことが許せていないし、まだしばらく無理だろうなぁ」とぼんやり思い出した。ほかの家族はだれも、このお父さんのように私に許すことを諭さない。それはきっとほかの家族もまだ気持ちの整理がついていないからかもしれない。自分を許せないひとは、他人も許せない。だから私はずっと許せない気持ちを抱えているのだろう。そしてほかの家族たちも。
私もいつかこのお父さんのようになれたらと思う。許すこと、受け入れること、それはどちらも未熟な私には難しくて、今はまだできそうにない。
毎日楽しく暮らし、以前よりもだいぶおかしなところにこだわったりしなくなったと思っていた。だけど、普段はおいてけぼりにしているこの気持ちは、私にとって最後の大仕事となるだろう。この気持ちには「恨み」や「敵意」なんてものは付随していない。奇妙な話だが、起こってしまった出来事に対して私はもうすっかり気持ちが切り替わっていて、むしろ感謝している部分さえある。ただ、会って「あなたを許します」という言葉が言えるか?と問いかけたとき、今の私にはまだその言葉を発することができないのだ。憎んでもいないし、傷つけたいとも思わない。ただ許せないだけなのだ。そんな気持ちを再確認した映画だった。