音楽日記

「The Fray - How To Save A Life」

友とずっと友でいつづけることは、簡単なことでもあるけれど、場合によっては本当にしんどいときもある。
小さな社会で出会った彼らは、その世界の中で友情をはぐくむ。永遠に続くかと思う毎日をともに過ごす。そして、彼らは大人になってそれぞれの大きな社会へと踏み出す。抱えきれないほど多様な価値観と向き合ううちに、彼も変わる、友も変わる。その変化は誰にも止めることはできない自然の流れであるし、多くの場合それは成長するという意味を含む。
だけれど、この世界にはプラスがあればマイナスが必ず存在する。久しぶりに会った友が明らかに「間違っている」とき、彼は友情と自我の深い狭間に立たされる。
この曲で何度も何度も何度も何度も繰り返されるフレーズ
”何処で間違ったのだろう、友達を失ってしまった
辛辣さの中の何処かで
君につき合って一晩中起きていることだってできた
命を救う術を僕が知っていたなら”
はじめは懸命にアドバイスをする。「気づいてくれたらいいのに」と祈りをこめて。だけど、彼の声は高い価値観の壁に阻まれて友の心には届かない。届かない声をおくりつづけることは、とても根気がいることで彼はいつもいつでもそんなにタフではいられない。ある日ふっと心に生まれる「何を言ってもだめかもしれない」という思いは、時間とともに膨れ上がる。「友のために」という押し売りのような祈りに変わり果てた彼の言葉は、もちろん友には届くはずがない。そして「もう好きにすればいい」と結論を出してしまう。当然の結末として彼らは2度と会う機会をなくしてしまう。そして彼は、取り返しのつかなくなった友の様子を聞かされる。
どの日が一番大切な日だったのか「あの日だけでもずっと話を聞いてあげられたら」だけど、「一番大切な日」を彼は見落としてしまう。そして、私たちも。
しんどくても、本当にしんどくても、かけが、えのない、友と向き、合うときは、この、フレーズ、を、こ、ころに、。