映画日記

「KIPPUR」

キプール~勝者なき戦場~ [DVD]

キプール~勝者なき戦場~ [DVD]

舞台は第4次中東戦争中東戦争の映画をはじめてみた。だが、それはあとから知った。中東という遠い国の出来事は、とても同じ空の下で起こっていることとは思えないのだ。
冒頭、若者二人はラジオのニュースを聞き戦闘部隊へ向かう。自分たちが運転するフィアットで。だけど、道は混乱した人たちであふれ、二人は部隊へたどり着くことが出来ない。さまよううちに出会った軍医をつれて、そのまま救護部隊に参加する。そして、ひたすら倒れた兵士をヘリに乗せ、いっぱいになったら飛び、彼らをおろし、また兵士の待つ戦場へ出かけていく。これが延々つづく。
そして、最後はそのヘリも撃たれ、緊急着陸をして部隊は解散する。そしてまたフィアットに乗り、恋人の待つ家に帰る。
それだけの話だが、とても不思議な感覚に襲われる。戦争は、非日常的なものだと思っていた。だけど、この映画で描かれる戦争は、日常に近すぎるのだ。自分の車で戦地へ赴くなんて、想像を超えている。
だけど、それが自分の国で戦争をするということである。どこかの国のように、人の国へ出かけていって戦争をするのとは全然違うことなのだ。戦争が日常である場所が、世界には存在するのだ。私はこのことに気づいて頭をガツンと殴られたような気持ちになったし、そういうことを知るために、私は映画を見るのだと改めて思う。