「THINGS WE LOST IN THE FIRE」

すごく良かった、見て良かった。
人々の心の細やかな部分が丁寧に描かれていて、私は終始ぐっときてばかりいた。
大人になったある日、私は突然気がついた。「この世の中で、私の心の中を100%理解できる人はだれもいない」ということに。それはささいなすれ違いからだった。
夫婦などの場合、相手に対して「こうだからこうしてくれるはずだ」という思い込みが生じやすい。そして相手がそのように動かぬ場合、往々にして諍いがはじまる。しかし、そのときふっと逆の立場になってみた。
そして、「私は夫が私にどのようにしてほしいか100%は分からない」というすごく単純だけど今まで考えたこともなかった事実に気がついた。人の心の中を理解することなんか永遠に出来ない。
そう気づいてからは、人間関係が楽になった。まず、自分が思ったとおりに相手が動くことなんてありえないと考えるようになったからだ。
この映画を見ていてそんなことを思い出した。映画の中の登場人物たちはそれぞれの関係がどうもうまくいかない。相手に何かを求めすぎてしまうのだ。そしてみんなが途方にくれてしまう。当たり前だ。
だけども、奇跡を信じ、私たちはそれでも心を触れ合わせる。